「オール手縫い」の革製品ってどうやって作られているのか分からないですよね?
「革を切って縫い合わせてるんでしょ?」
と言えばそれまでなんですが、一つひとつの過程になかなかの時間がかかるものなんです。型紙を作るところから始まりますが、今回は型紙ができているところから始めます。型紙は型紙で、「型紙の作り方」みたいな内容で書きますかね(^^)
今回は、あくまでろんべえ式ですが、こんな感じで作ってますよ、というのを紹介いたします。他の作り手さんと違うところもあるかもしれませんが、参考になればと思います。
要は、時間と手間をかけて作っているということです(^^)
⚫️型紙を革に写して裁断する
はい、スタートです。
まずは、型紙を革の上に置き、トレースします。この時、自分は手芸屋さんに売っている千枚通しを使っています。使うときに折れ曲がる部分については、革が曲がりやすい方向を考えてトレースしないと、出来上がったときに変なシワが出来たり使いにくかったりするので注意が必要です。
トレースできたら裁断します。道具として、カッター・別たち・革包丁・デザインナイフを持っていますが、最近はグランツのカッターを使うことが多いです。直線も細かい曲線もこれ1本でいけますし、ある程度の重量があるので作業しやすいです。細かいところですが、裁断する時は、千枚通しで引いた線の内側に合わせて切るようにしています。
裁断できましたら、貼り合わせない部分のコバを磨いておきます。組み上がってからでは、磨きにくいところです。忘れないように注意が必要です。
ここまでを、下処理と自分は呼んでいます。これがしっかり出来ていないと、この後どれだけ丁寧に作業してもうまく出来ないです。
⚫貼り合わせる
貼り合わせる時には、Gクリアーかゴムのりを使っています。ゴムのりは時間が経つと粘度が高くなり使えなくなるのですが、最近、専用の溶剤を使えば粘度を調整できるということを勉強しましたので、ゴムのりを使う頻度が多くなりました。作業している中で貼った後に再度剥がして調整しやすいことがメリットかと思います。
G17というボンドも最初使っていましたが、強力でいいのですが、色が黄色でコバの端に出てくると目立ってしまうので、Gクリアーの方がいいのかなを思っています。100均でも買えますしね(^^)
⚫️縫う
手縫いで縫うためには、縫穴をまず開ける必要があります。自分の場合は、5ミリピッチの菱目打ちで印を付けて、縫穴は菱ギリで1個づつ開けていきます。レザークラフトを始めた時は菱目打ちで開けていましたが、ろんべえの理想とする縫い目にならなかったので、最終的には菱ギリで開けるようになりました。音もしませんしね(^^)
縫穴を開けるって結構な作業です。分厚い革に真っ直ぐ刺さないといけません。縫い目の美しさはこれでキマります。厚さ5ミリを超えると真っ直ぐ通すのが結構難易度高くなります。これは、練習しかないですね。
穴が開いたら縫っていきますが、糸は「ビニモ」という糸を使っています。太さは1番です。他の作り手さんから、「太い糸使ってますね」と言われたことがあるのですが、この感じがカッコいいと思っています。
手縫いには「レーシングポニー」という道具があるのですが、始めた頃から一回も使ったことないので、「使わない派」になってしまいました。ポニー使えばもう少し作業は早いのかもしれませんが、12年使わずにやってきましたし、これからも使わないと思います。
5ミリづつ、ゆっくり縫い進めていく訳ですが、1歩1歩ゴールに向かって進んでいく感じが結構好きです。
⚫️コバを磨く
組み上がったら、コバを磨いていきます。過去にコバの磨き方を紹介していますので、詳細は是非そちらの記事をどうぞ(^^)
薬剤は何種類もありますが、自分はCMCという薬剤を使っています。これは単純にコスパがいいからです。
何年も使っている間にコバも育っていきますので、ろんべえ式ではある程度の仕上がりとしています。と言っても手を抜いている訳ではなく、まあまあの作業量にはなっています。
CMCを塗り、スリッカー(木で作られたコバ磨き棒)で磨き、その後、布で磨いて仕上げています。自分だけかもしれませんが、コバ磨きが結構肩こります・・・。
⚫️完成
コバ磨きが終われば、最後はブラシで縫い目に入った革の削りかすなどを取り除いて完成です。長い道のりですね。
トラッカーウォレットなどの折り曲げて形になるようなモノは、完成時に折り曲げません。折らずにそのまま、お客様に発送します。なぜかというと、折り目を付けるところからお客様に育てていただきたいからです。ゼロスタートです。誰が折っても同じかもしれませんが、そこから使い初めて欲しいという想いからです。
ただ、革製品としての「本当の完成」は、使ってから10年後だと思っています。
⚫️最後に
切る、貼る、縫うというだけなんですが、どれを取ってもなかなかの作業です。気を抜いてできるような作業は何一つありません。力の入れ方一つで仕上がりが変わってきます。
まだまだ技術が足りていないと思っていますので、これからも日々精進です。「もう少しここを何とかしたい」という気持ちはいろいろあります。
こんな想いで一つ一つ、楽しく作っています。
それでは、今回はこの辺で。