ウォレット

最初のきっかけは、同僚の財布

今から10年以上前ですが、会社の同僚の財布を見たのがきっかけです。
手にとって見せてもらった時、震えるほどドキドキしたのを覚えています。
「自分もこういうのを自分で作ってみたい」
でも、「レザークラフト」に元々興味があったわけではなく、全く知識もありませんでした。
どうやったらコレが作れるのか、何も分からないまま、スタートしました。
今回は、どうやってろんべえの革細工が始まったのか紹介します。

⚫️会社の同僚の革財布

彼と一緒に昼ごはんを食べに行った時、会計の時かなんかにチラッと彼の財布が見えたんです。メチャクチャ使い込まれている感じがしました。
「なあ、ちょっと財布見せてくれへん?めっちゃイイ感じじゃない?」
それは、ロングのバイカーズウォレットで、アメ色というか黒に近い茶色に育っています。カードポケットのアタリや、ケツポケに入れて曲がったシルエット。
たまらん!!かっこいい!!
「あ、コレですか?5年以上使ってるんですよ。サドルレザーってやつで、実はこれ、自分で作ったんです」
衝撃が走りました。
「え?自分で作ったん?」
元々、こういう革財布を作ってみたかった訳ではありません。革細工に興味があった訳でもありません。経年変化やエイジングという単語も知りませんでしたが、「自分だけのものに育て上げていく」というのは好きでした。それが、彼の5年以上使ったサドルレザーの財布を見せてもらい、まさか自分で作れるということに驚きを隠せませんでした。
一発でキマりました。
「オレもやりたい」
何も知らないまま、スタートしました。2012年のことです。

⚫️最初はキットを購入

同僚に聞くと、〇〇というレザークラフトの店が家の近くにあって、そこで教えてもらって革や道具を買っているとのことでした。レザークラフトについて何も知らないので、とりあえず、そのお店のホームページを見てみました。
見ていると、キットが売っていました。彼の持っていた財布とよく似たデザインのロングウォレットもありました。キットというのは、革はすでにカットしてあり、貼って、縫穴を開けて、縫って、コバを仕上げれば完成です。作り方は紙に書いた説明書が入っているということでした。
「まずは、これで行こう!」
道具も何がいるのか分からないので、初心者用の最低限必要な道具のセットというのを一緒に買いました。
その頃、レザークラフトについて、ネットでいろいろ調べて情報を得るということはしませんでした。なぜ、やらなかったのかは分かりませんが、今でもあまり検索して見たりしません。元々、「分からなかったらネットで調べてみる」というタイプの人間ではないんでしょうね。

⚫️見事にハマりました

キットや道具が届くなり、早速説明書を読んでスタートです。作り方なんて全く知らないですから、その説明書が全てです。もはやバイブルレベルです(^^)
全てが、もう、ドキドキです。
これが革か!これがあの茶色になるのか!手触りや匂いも最高。カットされている状態とはいえ、これを組み立てたらアレになるという楽しみがありました。
道具も見たことないヤツが入ってて、まさに職人っぽい感じ。
「ウォー!こういうの好き!」
昔、子供の頃にプラモデルが好きで、ニッパーやカッター、ヤスリなど専門の道具を整理しておくのが好きだったんです。それと同じ感じがしました。
早く作りたくて仕方ないんですが、ちょっと立ち止まりました。
「これ、型取っておいたら、後で自分で作れるんちゃう?」
そうです。カットされた革があるわけですが、これを型取っておいたらずっと使えます。百均で方眼紙を買ってきて写しておきました。これでOK。
やっと作れるわけですが、やってみるとまあ楽しい。
どんどん進めてしまいます。家族と買い物に行っても帰ってきたらすぐに作業。時間はかかりますが、メチャクチャ楽しいんです。
どハマりしました。

⚫️型紙の重要性を知る

やっと初めての財布が完成した時は感動でした。
「なんて楽しいんだ」
中身を入れて、ジーパンのケツポケに入れて、また感動。
でも、どこか腑に落ちない自分がいたんです。
なぜかというと、最初からカットされたものだからです。自分でカットして作りたくなってたんです。
なので、その後、革だけを購入しました。キットの型をとった方眼紙で型取りして、と思ったんですが、なんと型紙としては全く使えないものでした。まあ、精度が悪い。もう一度、丁寧に線を引き直して、長さなどを揃えて書き直しました。
革をカットした時に揃ってなくても、後から何とでもなると思っていたんです。
いやいやいや・・・・。
寸法が合わないので、何度もやり直しながら、型紙を作り直しました。型紙がちゃんとできていないと作れないんだと理解しました。これが全てなんだと。
何とか、自分で書いた型紙からのロングウォレットが完成しました。自分で型紙を作って、自分でカットして縫い上げた革財布です。
たまらん・・・・・。
なんて楽しい世界なんだと思いました。もっといろいろ作りたいと思いました。
ところが、もう一人のろんべえが頭の後ろの方でこう言いました。
「でもそれ、自分でイチから考えた型紙じゃないよな」
もう、邪魔くさいとはこのことです。
自分で考えたデザインというか、設計はしてませんから、そういうことになります。

こうやって、始まりました。

キットで作ったバイカーズウォレットです。

自分で型紙写して作ったバイカーズウォレットです。当然ですが、一緒です(^^)

⚫️最後に

今から12年前、ふとした時に見た同僚の財布がきっかけです。
キットと初心者用の道具セットで始まりました。その道具の中には、12年たった今でも現役で使っているものもあります。
最初はマネからですよね、何でも。
自分の革細工の場合は、最初に買ったキットと説明書がベースになっています。そこから自分流にいろいろアレンジして今に至っています。
今でも、作るのが楽しくて仕方ありません。
まだまだやります。
技術的にもまだまだだと思ってます。
革細工は、目が見えて、手が動く限り続けていくと思ってます。
「ろんべえさん。前に買ったこの財布20年たちましたわ。見てよ、この経年変化!」
そんな日を夢見て作り続けます。