ずっと気になってたんですよね。
どうしても、普通に縫っていくと糸の撚りがほどけていく箇所が多いということ。
革細工を始めて13年目になりますが、「こういう縫い目にしたい」という目標というか、「憧れの縫い目」があるんです。
それは、革細工を初めて1年後とかに出会いました。インスタで拝見したんですが、初めて見た時は、「なんてかっこいいんだ!」と衝撃が走ったのを覚えています。
ワイルドで美しく、高級感があり、でも優しさというか温もりも感じられ、全体的に引き締まっていて、筋肉質で余計な贅肉がなく、ボクサーのような肉体に鍛え上げられた縫い目です。
見て1発で、「オレもこれをやりたい」
という気持ちになりました。
革細工を始めた頃は、菱目打ちで開けていました。4本と2本のを使っていました。 それで穴を開けて縫っていくんですが、縫い上がっても、どうしてもやりたい縫い目と違う。針を入れる方向や、力の入れる向きを変えても全く近づきません。いろいろ見ていると、どうやら1個ずつ開ける方法もあるらしい。「菱ギリ」という道具があり、縫い穴を1個ずつ開ける方法です。早速、手頃な値段のものを購入してやってみます。まあ、縫穴の角度がバラバラ・・・。穴を開ける向きは、菱目打ちと同じ向きで、奥から手前に開けていきますが、向きを文章で書くと「左上から右下に斜めになる」角度です。まあ、普通の一般的な開け方?になるんですかね。それで、縫っていきますが、ちょっと良い感じに縫える気がしました。近づいている感じがしましたね。そこからは、「これだ」ということで、開ける角度や糸の通し方などを試して、以降ずっと菱ギリを使っています。
ですが、よーく見てみると、糸が少し緩んでいる所がいくつもあります。撚りが戻っている?と言うんですかね。縫い目がぼんやりしています。遠くから見ると気にならないんですが、近くで見ると違う。インスタ用に写真を撮っても、目標としている縫い目ではありません。糸が引き締まっていないんです。
「なんとかならん?」
と、ネットで調べてみました。
すると、どうやら糸にはS撚りとZ撚りの2種類があり、自分の使っているのはZ撚りでした。
菱目の角度について、書かれている記事もありました。まさに、自分が困っていることについて書かれていました。
ざっくり要約すると、
「手縫用とされている糸はS撚りと言われていますが、販売されているのはZ撚りが多いということ。また、一般的な菱目の角度はS撚りと合う1種類で、Z撚りに使用すると緩みやすい」ということを知りました。
これは「間違い」という話ではなく、道具や糸の仕様の関係で自然に起こる現象のようです。
参考に、自分が使っているのは「ビニモMBT」という糸です。(もちろんZ撚り)この糸は、「撚りがほどけにくい」とどこかで読んだのでこれを使っています。(コスパも良いですし)
そして、先ほど書いた菱目の角度について、
「一般的な菱目打ちの角度でZ撚りの糸を縫うと、撚りが戻る方向に力が加わる」
ということが重要ポイントです。
他のよく似たサイトを見ても同じようなことが書かれているので、どうやら本当のようです。自分もそうしているし、実際に縫い目がほどけている所があります。(加減でほどけずに縫えているところもあります)
じゃあ、菱目の向きを反対にすれば良いじゃないかとなりますよね。
そうすると、「憧れていた縫い目と逆」になってしまうんです。
「んーーーーーーーーー。」
さんざん試して考えた結果、「糸を引っ張って引き締める前に、ちょっと糸をねじって撚りを強めにしてやる」という方法に行きつきました。そうすると、引っ張った後に撚りが戻っても何とかそれっぽくなっています。ちょっと強引ですが、見た目は良いです。その代わり、毎回ねじらないといけないので、手間と時間はメチャクチャかかります。基本的に、「革細工の作業に手間をかけるのは悪いことではない」と信じているので、それほど抵抗はありません。
これで、「自分の手縫いの方向は決まった」と思っていたんですが、頭の奥の方ではちょっとしたモヤモヤがいるんです。
何となく、ぼんやりと、小さいんですが確実にいるんです。
「菱目の向きと糸の撚りを正しい関係」で縫っているのかということ。
おそらく、強度的にも今の縫い方で全く問題はないです。ここは、言い方が難しいのですが、間違いでもないというか、それでいいと思います。調べ切ったわけではありませんが、菱目打ちの角度もそうなっているし、Z撚りの糸しか売ってないんだし、普通に手縫いをすればそうなります。
そこまで気にしなくても良いんじゃないですかね。という話で終わりです。
ただ、「S撚りの菱目の向きでZ撚りの糸を縫っている」ということが気になって仕方ない。撚りがほどける方向に力が加わる縫い方をしているんです。
RonbeyCraftのろんべえさんは、どうしても気になってしまうタイプの人間でした・・・。
何となく、腑におちないというか、「それでいいのか」と。
引き締める前に糸をねじってやれば、撚りが戻っても良い感じの縫い目になっています。でもそれは、自分が理想としている仕上がりと照らし合わせると、今のやり方ではちょっと違う方向で無理やり感がある。そんな違和感がどうしても残っていました。
教本も読んだことないので分かりませんが、根本的にZ撚りの糸に対応する菱目の向きが違うんだよなと。
憧れていた縫い目と向きは逆になるけど、「菱目の向きを逆にする」というやり方が良いんじゃないかと。
そして、自分は菱ギリを使っているので、それが出来る。
実は、過去に一度チャレンジしたことはありました。長年、やってきた菱目の向きを逆にすることは「まあ、大変」です。糸を通す箇所、力の入れる方向や何やら全部反対になるので、訳が分からなくなります。手が動きを覚えているので、返縫いとか、もう無理、、、、、。
ところが、今回あることがきっかけで、もう一度これについて考え直しまして。
迷い続けてきた部分ですが、今回あらためて考え直し、自分が求める縫い目に近づけるために、
「菱目の向きを反対にしてみる」
ことにしました。
※自分が悩んでいたのは、あくまで「自分が求める縫い目」に近づけるための方法であって、今の一般的な菱目と糸の組合せが間違っているという話ではありません。
様々なやり方があり、それぞれの作り手さんが、自分の理想のために選んでいる方法でいいと考えています。
それでは、今回はこの辺で。
